KOTOBA*Sphere

[部屋は心を映す]
昔から、星が好きだった。星を見るのが好きだった。
月や星の写真を集めた。
ポストカード、ポスター、カレンダー。
私はそれらを部屋の壁や天井にピンで留めた。
それから、空に憧れた。朝昼晩、飽きるほど空を眺めた。
空の写真を集めた。集めたものを、部屋に貼った。
狭い部屋は、あっという間に星と青空でいっぱいになった。
青い色で満たされた、小さな空間。
そこにいると私は落ち着いた。
哀しい気持ちや寂しい気持ちは、皆この部屋で噛み締めた。
――ひとりで。
それは落ち込んだときひとりで立ち直るための、私の儀式だった。
部屋は主の心を映す。
狭い部屋を、まるで心の隙間を埋めるようにカードで埋めていったけれど、
得られたのは小さな安らぎだけだった。
心は満たされない、いつだって何か足りない気がしていた。
そしてある日、気づいたのだ。
部屋中を満たした写真の中に、「誰もいない」ことに。
やがて私は、大地に目を向けるようになった。
草原、花畑、海。地平線、水平線、山、森。
部屋に飾るポストカードの風景に家並みが混じった。動物が姿を現した。
家や雑貨、食べ物、被写体の距離は少しずつ近くなっていく。
最後にたどり着くべきものに向かって。
遠い遠い宇宙の果てから、視線を移す。
ゆっくりゆっくり、本当にゆっくり首を巡らせて、
――そして今、目の前には君がいる。